コラム
美容室の集客はチラシで変わる!効果を高めて成功させるポイントも解説

美容室経営において、新規顧客の獲得は永遠の課題です。ホットペッパービューティーやSNS広告など、デジタル施策が主流となった今でも、チラシは地域密着型の集客手段として根強い効果を発揮しています。
手元に残る紙媒体は保管されやすく、スマホを使わない高齢層にもしっかり届くのが利点です。今回は、美容室のチラシ集客の基本から、成果を出すための具体的な方法まで丁寧に解説します。
Index
美容室のチラシとは?集客における役割
美容室のチラシとは、サロンの情報を印刷物として直接顧客に届ける広告媒体のことです。デジタル広告と異なり、手元に残るため保管されやすく、家族間での情報共有も自然に生まれます。なかでも地域住民への認知拡大と、来店のきっかけ作りに優れた効果を持っています。
美容室のチラシでは、スマホを使わない高齢層や、紙媒体を信頼する世代にもしっかりリーチできるのが強みです。近年の美容室は競争が激しく、令和6年の厚生労働省の統計によれば美容所(美容室)の施設数は約1.3%の増加傾向にあります。そのなかで、費用対効果を正しく理解して活用すれば、限られた広告予算でも十分に成果を生み出せる集客手段となります。
美容室のチラシの反応率
美容室に限らず、チラシ配布による来店反応率は、0.01〜0.3%が業界水準だといわれています。つまり10,000枚配布した場合、10〜30人の新規顧客を獲得できる計算です。あくまでも目安で、業種やチラシのデザイン、配布の時間帯や曜日などによって前後するのはいうまでもありません。
また、何度も接する対象に対して好意や親近感を持ちやすくなる心理効果(単純接触効果)を狙って、反応率を高めるといった手法も取られます。これにより、2回目・3回目と増えるほど来店に至る可能性も高まるため、複数回の実施を前提に考えてください。
美容室がチラシによる集客を活用する5つの理由

美容室がチラシを活用すべき理由は、単に「安いから」だけではありません。以下で具体的に5つの理由を見ていきます。
地域密着型の集客ができるから
美容室のチラシは配布エリアを絞って無駄な広告費を削減できれば、費用対効果が高くなります。例えば、店舗から半径500m〜1km圏内の方だけに直接アプローチして、通いやすい顧客層を獲得するといった具合です。
近隣住民はリピーターになりやすく、口コミも広がりやすい傾向があります。一時的に費用がかかるにしても、結果として長期的な経営安定につながる理想的な集客方法にもなり得るのです。
広告費を抑えられるから
Google広告などのWeb広告媒体や、ポータルサイト(予約サイト)での広告枠と比較すると、チラシは初期費用・継続費用のどちらも削減できます。美容室に限らず、チラシそのものは印刷費と配布費のみで実施可能だからです。
月額固定費が不要なため、予算が限られた個人経営の美容室でも取り組みやすいのが特徴です。さらに一度作成したデザインを繰り返し使用でき、2回目以降のコストを抑えられるケースも少なくありません。
店舗の雰囲気を伝えやすいから
チラシであれば、写真やデザインを通じて店舗のコンセプトや内装の雰囲気を目に見える形で伝えられます。はじめて来店する顧客に対し、「自分に合う美容室・サロンであるか」を事前に判断してもらえるわけです。
デジタル広告はどうしても掲載枠・掲載内容が固定されやすく、柔軟性に欠ける媒体もしばしばあります。一方、チラシであれば情報量をサイズと文字で自由に管理できるほか、じっくり読んでもらえる利点も同時に確保できます。
手元に残るため保管されやすいから
デジタル広告は枠と掲載時間が決まってしまう構造上、見た瞬間に流れてしまいやすい媒体も含みます。しかしチラシは冷蔵庫に貼られたり、引き出しに保管されたりします。結果、数週間後に「そういえばあの美容室のチラシ」と思い出してもらえる可能性を自然に高められるのです。
また、クーポン(割引券)付きなら、自然に保管率を高められるはずです。家族が見つけて来店につながるケースもあり、たった1枚のチラシであっても複数回の接触機会を生み出します。
ターゲットを絞って配布できるから
ターゲット設定に加え、配布方法を組み合わせて調整できるのも美容室のチラシ集客におけるメリットの1つです。例えば、以下のように、柔軟な戦略を立てられます。
- 一戸建てが多いエリアだけに絞る
- マンションが多いエリアで手広く配布する
- ファミリー層が多い地域にのみ重点的に配布する
高年齢層を狙うなら、新聞折込で指定の世帯に届きやすくする工夫を凝らせます。他方、年齢層を問わないのであれば、ポスティングで全世帯を狙うのも一案です。
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美容室のチラシを配布する方法
美容室のチラシを配布する方法は、大別すると主に3つあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、予算や目的に応じて選べるように解説します。
自分で配る
作った美容室のチラシを、自らが指定の範囲で見込み客に届ける費用を抑えたい方に向いた方法です。一定の期間・エリアを設定し、雨の日は避けつつ早朝や夕方の涼しい時間帯に配布するのが基本の手順となります。
一般的な目安ではありますが、1時間で100〜150枚程度が現実的な配布ペースです。美容室の近隣にどのような人が住んでいるのか、実際に歩いて確認できるため、今後のチラシ戦略にも役立ちます。
新聞折込
日本新聞協会によると、新聞社発の情報に毎日接触する人の平均年齢は57.8歳、40代以下の割合は28.0%です。いつも見ている情報源としてチラシへの信頼度も高く、一度に広範囲に配布できるメリットがあります。
配布する曜日によって読まれる確率が変わるため、テストを重ねて最適な曜日を見つけるといった工夫も取れます。「〇〇町全域」ではなく、「〇〇町の一戸建て中心エリア」と詳細に決められれば、無駄も省けてより効率化も可能です。
配布業者
配布専門の業者への依頼は、美容室や飲食店など同業種の配布実績・ノウハウによって効果を高めやすい方法です。自ら動く必要はありませんので、配布を効率化したい場合に有力な選択肢です。
ただし、業者によって1,000枚から対応してもらえる場合と、5,000枚以上でないと受けない場合があります。本当に効果があるか不安だと感じる方は、少量の配布に対応した3社ほどから見積もりを取り、費用・対応の質を比較してください。
美容室のチラシを配布する頻度
美容室のチラシは、1回だけの配布では認知にとどまるため、複数回の接触が必要です。月1回×3か月で、ようやく「見たことがある店」として記憶に残るレベルだと考えてください。初回配布後の反応率を測定し、2回目以降の頻度と枚数を決定する戦略的な取り組みにしておくと無駄を減らせます。
例えば、反応が良ければ頻度を上げ、悪ければ内容を改善してから再配布するといった具合です。可能であれば小規模テストを繰り返しながら、美容室のあるエリアでの最適な頻度を見つけてください。
配布するタイミング
美容室が新規店舗なら、おおよそオープン1か月前に配布するのが理想的です。そのほか、季節やイベントに合わせて配布するのもまた1つの戦略となります。
美容室は、以下のように季節ごとに顧客のニーズが変わるため、タイミングを見計らってチラシを配布してください。
| 季節 | イベント・訴求内容 |
| 春 | 卒業式、入学式、入社式など |
| 夏 | 暑さ対策・イメチェンなど |
| 秋 | ダメージケア・ブライダルヘアなど |
| 冬 | クリスマス・年末年始など |
また、いつでも需要があるという点を踏まえて、予約の空きが定期的に出るタイミングで配布するのもおすすめです。
美容室のチラシの制作にかかる費用相場
美容室のチラシ制作費用はピンキリで、一概に相場は決まっていません。質の向上に手を入れるほど高くなり、簡素なほど安くなる傾向があります。あくまでも目安としては、「2円〜10円/1枚」のレンジがよく見られます。
だいたい1,000枚を配布するとして、美容室チラシの1回配布コストは約1.8万〜10万円強です。最初は1,000枚程度の配布で反応率を測定し、結果を見てから本格配布に進むといった段階的な取り組みでコストを調整してください。
美容室のチラシをデザインする際のポイント

美容室のチラシは、デザインの良し悪しが反応率に直結します。ただし「おしゃれ」だけを追求すると、かえって読みにくくなります。以下で、具体的なポイントを解説します。
覚えやすいキャッチコピーを作る
美容室のチラシで少しでも見込み客に興味を持ってもらいたいなら、キャッチコピーを作り込みます。主な手順は、以下のとおりです。
- ターゲットの悩みを言語化する
- ベネフィット(得られる良い結果)を明確に示す
- 短く覚えやすいフレーズにする
- 問いかけ形式で興味を引く
例えば、「ツヤ」を前面に出したサービスがある場合、以下のように作れます。
- 「朝、髪が広がってセットが決まらない…」
- 「乾かすだけでまとまるツヤ髪に」
- 「ツヤ髪、復活」
- 「その髪、もっと好きになりませんか?」
ネガティブすぎる問いかけは悪い印象を残さないように避けて、前向きな期待感を持たせる問いかけを考えてください。
パッと見て美容室だと分かる見た目にする
全体のイメージでいえば、チラシを手に取った瞬間、0.5秒で「美容室のチラシだ」と認識できるのが理想です。見た目のインパクトを高めるためにも、以下のような要素を取り入れてください。
- 内装写真
- ヘアスタイルのシルエット
- ハサミ・ドライヤーのアイコン
美容室のイメージで使うアイコンは他店舗(不動産・飲食店など)に近いため、混同されない工夫が大切です。
スマホ撮影でも写真を用意する
プロカメラマンでなくても、自然光を活用すれば、美容室内の清潔感と雰囲気が伝わる写真は撮影できます。可能な範囲で、以下のような写真を用意してください。
- スタッフが笑顔で接客する様子
- 施術スペースの全体像
- 仕上がり後の顧客の表情
著作権に注意は必要ですが、「人」が写った写真は親近感を生みます。画像加工アプリで明るさとコントラスト(明暗の差)を調整するだけでも、印象は変わりますので試してみてください。
店舗のコンセプトに合わせたトーンを選ぶ
美容室のチラシはデザインそのものが相手に伝わるブランドメッセージになる、と考えて作ってください。間違った印象を与えないために、以下のようにコンセプトとデザインが一致しているのが大前提です。
- ナチュラル系サロンなら優しい色味と自然素材のテクスチャ(質感)
- 高級サロンならシンプルで洗練されたレイアウト
ただし、おしゃれを追求しすぎた結果、読みにくいという状態は避けてください。ターゲット層が好む雰囲気を研究し、「自分に合いそう」と感じてもらえる世界観を作り込むのがポイントです。
情報は適度な量を余裕を持って配置する
チラシで伝えたい美容室の良さが多くても、余白を十分に取り、視線の流れを意識したレイアウトにできる情報量にしてください。文字は3〜4種類のサイズに絞って、階層構造(どの情報が重要かの順番)を明確にするだけでも効果があります。
良さを伝えたい気持ちはわかりますが、「見やすさ」を最優先して読み手の負担を減らせば、情報を自然に相手へ届けられます。プロのデザインが優れていると揶揄される所以は、この引き算の美学を理解しているからです。
有効期限・条件を明記する
チラシの最後には発行日を記載し、「〇月〇日まで有効」と明確にして、計画的な美容室への来店を促すのもポイントです。期限間際に、思い出してもらうためのメッセージを送る戦略も有効です。
- 平日のみ
- 特定メニューのみ
- ほかのクーポンとの併用不可
など、条件も細かく明記します。曖昧な記載はトラブルのもとになり、顧客満足度を下げるからです。もちろん、スタッフ全員が理解しておくのも大前提です。
美容室のチラシの集客効果を高めて成功させるポイント

美容室のチラシを作って配布するだけでは、十分な効果は得られません。ここからは、集客効果を高めて成功させるための実践的なポイントも解説します。
ターゲットは具体的に絞る
美容室のチラシを届けるターゲットは「30代女性」といった漠然とした人物像では足りません。「32歳、既婚、小学生の子どもが1人」など、具体的なペルソナ(架空の顧客像)を設定してください。
年齢によって、以下が異なるからです。
- ヘアスタイルの悩み
- 来店頻度・タイミング
- 1回の予算感 など
ターゲットが明確になれば、その人に向けてメッセージを作れます。一人の架空人物を詳細に描くことで、刺さる内容が見えてくるわけです。美容室のチラシは、万人受けを狙うより、特定層に深く刺さるほうが反応率を高めやすくなります。
配布エリアを限定する
美容室のチラシを配布するエリアのメインは、店舗から半径500m〜1kmを優先してください。遠方から初回だけ来店しても、継続利用につながりにくいからです。また、国勢調査データや自治体の人口統計を参考に、ターゲット層の居住密度が高いエリアを特定するのも良い方法です。
ただし、近隣に同価格帯の美容室が多いエリアは競争が激しく、反応率も下がりやすい傾向があります。競合が少ないエリアや、差別化できる特徴がある場合は、あえて競合の近くに配布する戦略もあると考えてください。
競合サロンとの差別化ポイントを明確にする
近隣に競合の美容室があれば、自店がどの層にもっとも選ばれるべきかを分析してください。以下のような差別化ポイントがあるなら、それを求める層をチラシのメインターゲットにします。
- 子連れOK
- 完全個室
- オーガニック専門 など
そのうえで、「髪の健康を第一に考える大人女性のためのサロン」のように、店舗の存在意義を一文で言語化します。立ち上げる際にもこだわったように、そしてこれからも売れ続けるためはこうしたコンセプトを改めて見直すのが有効です。
お客様の声で同じ顧客を呼ぶ
「以前は〇〇で悩んでいたが、ここに来てから△△に変わった」という形式の声は、同じ悩みを持つ顧客に刺さります。ターゲットの典型的な不安や悩みを解消した事例をチラシの掲載内容として選べば、「自分も解決できるかも」という期待感を生むからです。
口コミを掲載する際は、3〜5件程度、異なるタイプの声を掲載するのが理想的です。実在の人物と分かる顔写真付きの声であれば、信頼性も高められます。ただし、著作権が関与しますので、顧客の許諾(許可)を得てから掲載してください。
QRコードで効果測定できる仕組みを作る
クーポンにQRコードを付け、専用予約ページに誘導できれば、チラシ経由の予約数を計測できます。通常のチラシだけでは、「配ってからなんとなく増えた」で終わってしまいますが、QRコードだけで具体的な数値を見て経営を判断できる基盤を作れます。
実施する際は、「〇月〇日、△△町1丁目〜3丁目、500枚配布」と記録し、反応率と紐付けてください。どのエリアの反応が良かったかデータを蓄積できれば、次回の配布精度が上がりやすくなります。予約システムと連携すれば、自動集計も可能です。
【関連記事】チラシ集客とは?集客率から具体的な方法・成功するためのコツまで解説
美容師のチラシを他と差別化するなら香り印刷もおすすめ
美容室のチラシで他店と差別化したいなら、香り印刷をぜひご検討ください。香り付きのチラシは見た目のインパクトだけに限らず、嗅覚にも訴えかけるため印象を強く残しやすい特徴があります。
突然ですが、「プルースト効果」という言葉をご存知でしょうか。これは、香りによって記憶や感情が呼び起こされる現象を指します。同様に、チラシに香りを付ければ受け取った人の記憶に深く刻まれ、「あの香りのサロン」として思い出してもらいやすくなるのです。
香り印刷所プルーストでは、美容室のチラシに最適な香り付き印刷をご利用いただけます。費用も通常のチラシに数千円プラスするだけで実現できますので、集客効果を高めたい美容室のオーナー様はぜひ下記ページからご覧ください。
美容室のチラシに関するよくある質問(FAQ)
最後に、美容室のチラシを制作・配布する際によくある質問へ回答します。
美容室のチラシ配布で違法にならないための注意点は?
美容室のチラシ配布で違法にならないためには、以下のルールを守ってください。いずれも違反すると、迷惑行為や住居侵入罪、軽犯罪法違反に問われる可能性があります。
- 「チラシお断り」のステッカーがある住宅には配らない
- 管理組合がポスティング禁止を明示しているマンションに投函しない
- 公道以外の私有地(商業施設の敷地内など)での配布は施設管理者の許可を得る
- ポストに入りきらないサイズを無理に投函しない
- 複数枚を一度に投函しない
美容室のチラシデザインを自分で作る場合の時間の目安は?
美容室のチラシデザインを自分で作る時間の目安は、一概にいえません。こだわるだけ、時間は無限にかかるからです。例えば、テンプレートを使えば、はじめての方でも約2〜3時間で完成します。
他方、ゼロから作る場合は構成を考える時間も含めて5〜10時間程度は見込んでおくのが無難です。なお、2回目以降は、前回のデザインを流用して写真とキャッチコピーを変えるだけなので、30分〜1時間くらいで済みます。
美容室のチラシのポスティングは早朝と夕方どちらが効果的?
美容室のチラシのポスティングは、以下の理由から早朝と夕方のどちらもターゲットによって効果的です。
- 朝7時〜9時は新聞と一緒に見てもらえる
- 夕方16時〜18時は帰宅後のリラックスタイムに読まれやすい
複数回配布するなら時間帯をずらすテストを実施し、配布時間まで工夫できれば反応率も高められます。
美容室のチラシの反応率が低かった場合の改善方法は?
美容室のチラシの反応が低い原因は、デザイン、内容、配布エリア、配布タイミングのいずれかにあります。以下のように、ポイントを絞って改善してください。
- デザインが目を引かないなら、メインビジュアルとキャッチコピーを見直す
- 内容が弱いなら、特典やお客様の声を強化する
- 配布エリアがずれているなら、ターゲット層が多い地域に変更する
一度にすべてを変えると、何が効果的だったか分からなくなるため、変更点は1〜2箇所に絞るのがポイントです。
まとめ
美容室のチラシは、地域密着型の集客手段として今も高い効果を発揮します。デジタル広告と比べて広告費を抑えられ、手元に残るため保管されやすく、ターゲットを絞って配布できる利点があります。ただし、1回だけの配布では効果が薄いため、複数回の接触を前提に計画を立てて実行してください。香り印刷所プルーストでは、美容室のチラシに最適な香り付き印刷を工夫として取り入れられます。ラベンダーやローズ、石鹸の香りなど、通常のチラシに数千円プラスするだけで実現できるため、ぜひ詳しくは香り印刷所プルーストをご覧ください。
香りの印刷所プルースト編集部
この記事は、香りの印刷所プルーストを運営している久保井インキ株式会社のプルースト編集部が企画・執筆した記事です。
香りの印刷所プルーストでは、香りの印刷をテーマにお役立ち情報の発信をしています。