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香りが印象に作用するしくみとその種類について

コラム 2022.5.1

鼻から得られる香り(におい)の情報は、単純に快・不快だけで判断されません。じつは、印象や感情に影響を与える「化学的な根拠」があることをご存じでしょうか。

本記事では、香りが感情に作用するメカニズムや根拠、どのような印象・感情に関連するのかわかりやすく紹介します。

また、最後には香りの7分類と一緒に、与える印象と期待できる効果にも触れますので、ぜひ参考にしてください。

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香り(におい)が感情に作用することは科学的に検証されている

香り(におい)は、化学的な検証によって感情への作用が認められています。どのようなメカニズムなのか、以下の3つにわけて紹介します。

  • 香り(におい)の正体は化学物質
  • 香り(におい)を感じる嗅覚のメカニズム
  • 嗅覚は感情に直結した感覚器官

香り(におい)の正体は化学物質

香りの正体は、化学物質(空気中を浮遊する揮発性の低分子化合物)であることが、数多くの研究結果で判明しています。ただし、揮発が発生しない場合は、においを感じません。

例えば、砂糖はそのままの状態だとほとんど香りがしませんし、空気中に漂っている二酸化炭素もにおいがない化学物質です。

ちなみに、香りは化学物質が関係しているとしても、空間に存在する物質量は少量とされています。そのため、人体に大きな影響はないようです。

では、香りは化学物質がどのように反応すると、感じられるのでしょうか。

香り(におい)を感じる嗅覚のメカニズム

香り(におい)を感じる嗅覚のメカニズムは、以下の通りです。簡単に説明すると、化学物質が電気信号に変換されて脳へ届き、その情報が伝えられて香りを感じる仕組みです。

  1. 空気中を飛ぶ揮発性の低分子化合物が鼻に入る
  2. 嗅覚受容体(においを感知するセンサー)に結合する
  3. 膜上のイオンチャネルからイオンが流れて電位が発生する
  4. 電気信号として脳の一部である嗅球(きゅうきゅう)へ伝わる
  5. 脳領域へ情報が伝達されて香り(におい)を感じる

人間の嗅覚には、嗅覚受容体が約400種類ほど存在します。それぞれの受容体は形状が異なりますから、そのうちのいずれに該当するのかという「組み合わせ」で、香りの違いを判別するわけです。

ちなみに、香りの好みに個人差がある理由は、嗅覚受容体の配列や過去の経験・学習に影響されると考えられています。

嗅覚は感情に直結した感覚器官

嗅覚は、感情に直結した感覚器官といえます。なぜなら、高次の脳領域(大脳辺縁系)には、海馬や扁桃体などの感情・記憶・行動を司る部分を経由し、電気信号として伝達されるためです。

主な大脳辺縁系

扁桃体 情動や感情を司る部分
視床下部 自律神経や内分泌に関連する部分
海馬 記憶を司る部分

大脳辺縁系の経由によって、何の香りかと感じるよりも先に、過去の記憶と結びついたり、感情や情動の変化が起きたりしやすい状態になります。

そうすると、香りに関連した情景や記憶を思い出す「プルースト効果」といった、香りを感じる以外の変化が起きたりするわけです。

その他にも、視床下部へ電気信号が与える刺激は、以下の身体にある整理機能に影響を与えます。

  • 興奮
  • 沈静
  • 集中
  • 睡眠
  • ストレス など

この影響は、香りによってリラックスや幸福感、痛みを緩和する効果が期待できる「アロマ効果」の化学的背景とされます。

このように嗅覚は、視覚や聴覚といった他の感覚と異なり、感情・記憶に直結して作用しやすい器官といわれています。

香りの種類7分類

香りは、一般的にアロマテラピーで認知されている、以下の7つに分類されます。そして、それぞれの香りで自分・相手が感じる印象が異なります。

  1. フローラル系
  2. 柑橘系
  3. オリエンタル系
  4. スパイス系
  5. ハーブ系
  6. 樹木系
  7. 樹脂系

これらの分類に化学的な根拠はありませんが、効果や香りのイメージの参考にしてください。

※紹介する効果は、一般的なアロマテラピーで期待できるものであり、医薬品としての効果・効能を実証するものではありません。

フローラル系

フローラル系は、花びらといった部分から抽出される華やかな香りです。

代表的な香りの印象は、以下の通りです。

  • 甘くて優しい
  • 女性らしい
  • 幸せ感のある
  • 華やか
  • 安心感 など

フローラル系は、癒しや安心感などの効果が期待できる香りが多くあります。

代表的なフローラル系の香り・効果

ジャスミン ホルモンバランスを整える
ゼラニウム むくみ・ニキビ・アンチエイジング
ネロリ 抗うつ作用・鎮静作用
ラベンダー 鎮痛作用・癒傷作用
カモミール 抗炎症作用・痛みの緩和

柑橘系

柑橘系は、果皮といった部分から抽出されるフレッシュな香りです。

代表的な香りの印象は、以下の通りです。

  • 爽やか
  • 温かみがある
  • ホッとする
  • 気分を明るくする
  • ナチュラル など

柑橘系は、気分を明るく高めたり、胃腸の調子を整えたりなどの効果が期待できる香りが多くあります。

代表的な柑橘系の香り・効果

オレンジ 緊張状態の緩和・消化器系に働きかける
グレープフルーツ リンパの流れをよくする・利尿作用がある
ベルガモット 消化促進作用・抗うつ作用
マンダリン 消化促進作用・前向きな気持ちになる
メリッサ 抗うつ作用・鎮静作用・殺菌作用

オリエンタル系

オリエンタル系は、熱帯に育つ植物から採れる、濃厚な香りが特徴です。

代表的な香りの印象は、以下の通りです。

  • エキゾチック
  • 官能的
  • 魅惑的
  • 異国情緒がある
  • 神秘的 など

オリエンタル系は、個性のある香りで官能的だったり、不安感を鎮めたりする効果が期待できる香りが多くあります。

代表的なオリエンタル系の香り・効果

サンダルウッド 穏やかな気持ちにする作用
パチュリ 抗炎症作用・抗菌作用・緊張感の緩和
イランイラン リラックス作用・不安の緩和
ベチバー 鎮静作用

スパイス系

スパイス系は、植物の果実といった部分から抽出されるやや刺激的な香りです。

代表的な香りの印象は、以下の通りです。

  • 柔らかい
  • 刺激的
  • 元気が出る など

スパイス系は、刺激や活性化といった効果が期待できる香りが多くあります。

代表的なスパイス系の香り・効果

クローブ 無気力状態の緩和
シナモン 血行促進・刺激作用
ジンジャー 血行促進・殺菌作用・だるさの緩和
ブラックペッパー 消化器系の刺激・活気作用
ローリエ 気持ちが高まる

ハーブ系

ハーブ系は、植物の葉といった部分から抽出される清涼感のある香りです。

代表的な香りの印象は、以下の通りです。

  • すっきりした
  • 爽快な
  • リラックスする など

ハーブ系は、清涼感を得たり、リラックスしたりするなどの効果が期待できる香りが多くあります。

代表的なハーブ系の香り・効果

クラリセージ ホルモンバランスを整える
タイム 不安感やストレスの緩和
バジル 活気作用・胃腸の不調緩和
ペパーミント 鎮静作用・意識への刺激
ローズマリー 集中力や記憶力を高める

樹木系

樹木系は、樹木から抽出されるウッディとも呼ばれる香りが特徴です。

代表的な香りの印象は、以下の通りです。

  • 清々しい
  • 爽やかな
  • 森の中にいるような
  • 温かみのある など

樹木系は、鎮静作用やリフレッシュなどの効果が期待できる香りが多くあります。

代表的な樹木系の香り・効果

シダーウッド 鎮静作用
ジュニパー 落ち込む気分の緩和
ティーツリー 鎮静作用・リフレッシュ
ユーカリ 鎮静作用・脳を刺激してクリアにする
パイン 落ち込んだ気分の緩和

樹脂系

樹脂系は、樹脂から抽出される奥深さが特徴の香りです。

代表的な香りの印象は、以下の通りです。

  • 甘い
  • 重厚な など

樹脂系は、心を落ち着かせたり、緊張感を緩和させたりなどの効果が期待できる香りが多くあります。

代表的な樹脂系の香り・効果

ベンゾイン 鎮静作用・心を温める
フランキンセンス 鎮静作用
ミルラ 落ち込んだ気分の緩和

まとめ

香り(におい)は、印象や感情に作用することが化学的に認められています。化学物質によって嗅覚が刺激され、約400種類の嗅覚受容体によって、好き・嫌いなどが判断されているものです。

そして、香りの印象は7つの分類にわけられ、それぞれ期待できる効果が異なります。

フローラル系 癒しを感じる・安心感を与える
柑橘系 胃腸の調子を整える・気分を明るくする
オリエンタル系 官能的な印象を与える・不安感を鎮める
スパイス系 気分を刺激する・活性化する
ハーブ系 清涼感を得る・リラックスする
樹木系 気分を落ち着かせる・リフレッシュする
樹脂系 心を落ち着かせる・緊張を緩和する

本記事で紹介した香りを参考に、気分を上げたり、相手へ与える印象をシーンごとに考えたりしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を企画・執筆した人
香りの印刷所プルースト編集部

この記事は、香りの印刷所プルーストを運営している久保井インキ株式会社のプルースト編集部が企画・執筆した記事です。
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