コラム
同人しおりに「物語の熱量」を封じ込める。読み返すたびに香りが作品世界を呼び覚ます、新しいファンエンゲージメント戦略

数万人が行き交う即売会の喧騒を抜け、ようやく自宅で一冊の同人誌を開く——。その瞬間から、読者とあなたの物語だけの「濃密な時間」が始まります。
しかし、どんなに深く心を揺さぶる作品であっても、日常の忙しさに紛れ、その熱量は少しずつ薄れていってしまう。それは表現者にとって、最も寂しいことかもしれません。
もし、読者が本を閉じるその瞬間に「物語の余韻」を物理的に閉じ込めることができたら。そして、再び本を手に取った瞬間に、あの時の感動を鮮明に呼び覚ますことができたら。
本記事では、フライヤーのような「広報」の役割を超え、読者の最もパーソナルな領域=読書体験に深く寄り添う「しおり」の再定義を行います。視覚だけでは到達できない記憶の深淵へ、「香り」という鍵を使って物語を刻み込む、新しいファンエンゲージメントの形。その戦略的な可能性を紐解いていきましょう。
Index
読書体験の「聖域」に踏み込む――しおりが持つ特権的ポテンシャル

即売会で配布されるフライヤーが、作品との出会いを作る「招待状」であるならば、しおりは読み手と物語を繋ぎ止める「契約の証」です。
「接触頻度」と「滞在時間」の圧倒的な差 フライヤーの役割は、イベント当日の誘導や帰宅直後の整理時にピークを迎えます。対して「しおり」の本領が発揮されるのは、読者が自室で本を開く「静寂の時間」です。一冊を読み終えるまで、あるいはその後何度も読み返すたびに、しおりは常に読者の視界に入り、指先に触れます。この「読書というパーソナルな体験への同席」こそが、しおりだけの特権です。
物理的な「楔(くさび)」としての役割 読者が本を閉じる時、しおりを挟む行為は「物語の中断」ではなく「再開の約束」です。そこに「香り」が介在することで、しおりは単なる紙の板から、作品世界と現実を繋ぐ物理的な楔へと進化します。
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0.1秒で「あのページ」へ。嗅覚がもたらす感情のショートカット
なぜ、しおりに香りを施すことが、読者の没入感を高めるのでしょうか。それは脳の構造に理由があります。
論理をスキップし、感情にダイレクトアタック 視覚情報は脳の「思考(新皮質)」を介して理解されますが、嗅覚は感情や本能を司る「大脳辺縁系」へダイレクトに、わずか0.1秒という速さで到達します。読者がしおりに触れ、ふわりと香りが立ち上がった瞬間、「綺麗なイラストだ」と論理的に考えるより先に、「この物語の切なさ」や「キャラクターの体温」が心に押し寄せます。香りは読者の心の防衛線を無効化し、一瞬で物語の核心部へと引き摺り込むのです。
「想像力のギャップ」を物理的に埋める 「雨上がりの匂い」「古い紙の匂い」。言葉だけでは読者の想像力に委ねられてしまう微細なニュアンスを、香り印刷は物理的に固定します。作者が伝えたかった「空気の湿度」を、読者全員に同じ精度で共有できる。これは、表現の解像度を極限まで高めるための「物理的な補完」なのです。
「読み返す」という行為を、儀式に変えるプルースト効果

特定の香りが記憶を鮮明に呼び起こす「プルースト効果」は、しおりにおいて最大の力を発揮します。
数ヶ月後の「再会」をプロデュースする 同人誌は、一度読んで終わりではありません。数ヶ月後、あるいは数年後にふと本棚から取り出したとき。しおりから漂う香りがトリガーとなり、初読時の感動、即売会での高揚感、そして作品への愛着が鮮明にリバイバル(再生)されます。
マイクロカプセルが守る「記憶の鮮度」 プルーストの香り印刷技術は、指で「こする」という摩擦によって香りが放出されます。この仕組みにより、通常の香料よりも遥かに高い持続性を実現しています。長期間本の中に挟まれていても、読者が「読もう」と指をかけた瞬間にだけ香りが解禁される。この「経年変化に負けない再現性」が、あなたのサークルを読者の記憶の特等席に留め置くのです。
【戦略的活用】「しおり」にしかできない、3つの読書体験設計
しおりに施す香りは、もはや単なる情報の付帯ではありません。読者の指先に「物語の体温」を宿し、読後感をコントロールするための演出デバイスです。
① 「キャラクターの実在感」
キャラクターが愛用している香水や、その人物を象徴する概念的な香りをしおりに託します。ページを捲るたびに香りが立ち上がり、視覚的なイラストを超えて、「今、自分のすぐ隣にキャラクターが立っている」という身体的な錯覚を読者に与えます。
② 「環境の同期(シンクロ)」
物語のキーとなる「場所」の匂い(深い森、古い図書館、雨上がりの街角など)を再現します。しおりをなぞった瞬間、脳は「今いる場所」よりも「香りが示す場所」の記憶を優先します。日常のノイズを遮断し、物語の核心部へと深く潜り込ませる「没入のスイッチ」として機能します。
③ 「感情の熱量」
余韻を永続させる 本を閉じ、しおりを挟むその瞬間にこそ最大の演出を仕掛けます。物語の結末にマッチする香りを配置することで、その時の感動を「記憶のパッケージ」として脳内に密閉します。次に本を開くまで、香りは物語の熱量を守り続け、再読の瞬間にあの感情を寸分違わず呼び覚まします。
即売会マナーと品質を両立する「制御できる香り」
同人イベントという密閉空間において、香りの扱いは慎重さが求められます。プルーストの香り印刷が同人活動に最適である最大の理由は、その「制御性」です。
- 摩擦するまで香らない: 展示中やバッグの中で不要に香りを撒き散らすことがありません。
- 「内緒の体験」の提供: 手に取った読者だけが、自分だけのタイミングで香りを楽しめる。この「隠された仕掛け」こそが、ファンにとっての特別な喜びになります。
また、100部からの小ロット対応により、「新刊ごとの限定しおり」や「キャラクター別の作り分け」など、個人サークルでも柔軟なブランディングが可能です。
【マーケティング導線】香りで高揚した瞬間を狙うQRコード連携

しおりは「挟んで終わり」ではありません。それは、読者の手元に残り続ける「最小の広告」でもあります。 読者が作品世界への没入感がピークに達しているその瞬間、しおりに印刷されたQRコードが「次」への扉となります。
- 感想フォームへの誘導: 「この熱量のまま、感想を伝えたい」という欲求に応える。
- 通販サイト・次作予告への誘導: 読後の高揚感をそのまま次の購買意欲へと繋げる。
香りで「感情」を揺さぶり、QRコードで「行動」へ繋げる。このアナログとデジタルの融合こそが、現代の個人制作における最もスマートな集客導線です。
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まとめ:しおりは「ページを記すもの」から「記憶を刻むもの」へ

デジタル化が進むほど、紙の同人誌という「物理的な所有」の価値は高まっています。その中で香り印刷を施したしおりは、読者にとって一生モノの「思い出のカケラ」となります。視覚の競争から一歩抜け出し、嗅覚という「記憶への直通ルート」で、あなたの作品を読者の心に深く刻んでみませんか。
香りの印刷所プルースト編集部
この記事は、香りの印刷所プルーストを運営している久保井インキ株式会社のプルースト編集部が企画・執筆した記事です。
香りの印刷所プルーストでは、香りの印刷をテーマにお役立ち情報の発信をしています。