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商品ブランディングとは?事例や効果・新たに生まれた差別化要因も解説
「新商品を投入しても、なかなか市場で認知されない」「競合他社の商品との差別化が難しい」「顧客に商品の価値が十分に伝わっていない」などの課題を解決する方法が「商品ブランディング」です。しかし、ブランディングの方法を間違えると、かえって商品のイメージを損なったり、市場での競争力を低下させたりするリスクもあります。
そこで本記事では、商品ブランディングの具体的な手法と実践的なステップを、成功事例を交えながら詳しく解説します。新商品開発を担当されている方、既存商品のブランド力を高めたい方は、ぜひ最後までご一読ください。
目次
商品ブランディングとは
商品ブランディングとは、商品の価値を確立し、顧客や見込み客へ効果的に浸透させるために行う一連の施策のことです。ブランドマーケティングとも呼ばれ、企業の持続的な成長を実現するための重要な戦略として位置づけられています。
主な目的は、顧客に継続的に商品を選んでもらえるよう、ブランドを育てていくことにあります。
なお、商品ブランドは、その商品に対して顧客や見込み客が抱くイメージや評価の総体を指します。そのため、顧客が商品を購入し使う過程で形成される印象や評価が、商品ブランドの価値となっていくのです。
〇〇といえばこの商品の例は?
商品ブランディングの成功例として、一般名称がそのままブランド名として定着している商品があります。代表的な例としては、以下が挙げられます。
一般名 | ブランド名 | 企業名 |
絆創膏 | バンドエイド | ジョンソン・エンド・ジョンソン |
消毒液 | マキロン | 大正製薬 |
ラップ | サランラップ | 旭化成ホームプロダクツ |
カップ麺 | カップヌードル | 日清食品 |
インスタントコーヒー | ネスカフェ | ネスレ |
炭酸飲料 | コカ・コーラ | コカ・コーラ |
掃除機 | ダイソン | ダイソン |
炊飯器 | 象印 | 象印マホービン |
スマートフォン | iPhone | Apple |
音楽プレーヤー | Walkman→iPod | ソニー→Apple |
このように、商品名が一般名称として使われるようになることは、ブランディングの究極の成功形といえるでしょう。
商品ブランディングでわかりやすい成功事例3選
商品ブランディングの成功事例として、長年にわたり消費者から支持を得ている3つのブランドを紹介します。この事例から、一貫性のある商品ブランディングがいかに重要か、そして企業の成長にどのように貢献するのかを学ぶことができます。
ニベア(ニベア花王)
ニベアは、商品ブランディングにおける一貫性の重要性を体現した代表的な事例です。1925年に採用された特徴的な青色のパッケージは、約100年経った現在でも変わることなく、世界中で愛され続けています。
この青いパッケージは、信頼性と清潔感を象徴し、スキンケア製品としての品質の高さを視覚的に表現しています。今でも続くパッケージデザインの一貫性は、消費者の記憶に深く刻まれ、店頭での商品認知度を高めることにつながっているのです。
ガリガリ君(赤城乳業)
ガリガリ君は、1つの商品ブランディングが企業全体のブランド価値向上に繋がった典型的な事例です。埼玉県深谷市に本社を置く赤城乳業は、ガリガリ君を通じて「庶民的で親しみやすい」というブランドイメージを確立しました。
中でも60円という価格帯を長年維持し続けたことや、ユニークな味の展開により、消費者の心をつかむことに成功しています。「ガリガリ君でおなじみの赤城乳業」という表現が定着したように、一商品のブランディングが企業全体のイメージ向上に大きく貢献しています。
ダイソン(Dyson Limited)
ダイソンは、製品の本質的な価値を明確に伝える商品ブランディングの成功例です。「吸引力の変わらない、ただ1つの掃除機」というキャッチコピーは、製品の核となる特徴を端的に表現しています。
このメッセージは、従来の紙パック式掃除機との明確な差別化を図り、消費者に新しい価値基準を提示することに成功しました。ダイソンは自社製品の強みを正確に理解し、効果的に訴求することで、プレミアムブランドとしての地位を確立したのです。
商品ブランディングで得られる効果
商品ブランディングを効果的に行うことで、企業には大きな3つのメリットがもたらされます。競合他社との差別化による競争力の向上、顧客からの継続的な支持の獲得、そして企業全体の持続的な成長です。この効果は、長期的な企業価値の向上に直結します。
競合と差別化して競争力を高められる
効果的な商品ブランディングを行うことで、「〇〇といえば××」という明確なイメージを消費者の心に定着できます。例えば、「スマホならiPhone」「掃除機ならダイソン」といったように、カテゴリーの中で真っ先に思い浮かぶブランドになることで、消費者の選択肢の中で常に上位に位置できるといった具合です。
このような強固なブランドイメージは、競合他社との差別化を生み出し、市場での競争力を大きく高めることにつながります。そして、この競争優位性は、商品が継続的に売れ続けるための基盤ともなります。
【関連記事】ビジネスの差別化戦略とは?新たなアプローチとポイント
継続的に購入してもらえる
商品のブランドイメージが消費者の心に深く定着すると、たとえ競合商品より価格が高めに設定されていても、継続的に選んでもらえます。価格以外の価値、つまりブランドの持つ信頼性や品質の高さ、ステータス性などが、購買決定の要因となるためです。
その結果、価格競争に巻き込まれにくくなり、商品の利益率を維持・向上させることが可能になります。さらに、この利益を新商品の開発やブランディング活動に再投資することで、新たなブランド価値を生み出すという好循環を生み出すことができます。
企業の継続的な成長につながる
商品ブランディングの成功は、企業全体の持続的な成長への道筋を作り出します。まず、個々の商品の競争力が高まることで、市場でのシェアが拡大し、安定した売上を確保できます。そして、ブランド力を活かして新商品を展開する際も、既存のブランドイメージを活用することで、より効率的にマーケットに浸透させることが可能です。
このように、商品の競争力向上→継続的な購入→新商品展開の容易さ→企業全体における利益率向上という一連の流れが生まれ、最終的に企業の持続的な成長を実現する原動力となるのです。
商品ブランディングの具体的な手法
商品ブランディングを成功させるためには、具体的な手法を理解し実践することが重要です。主に4つの手法があり、それぞれが商品の価値を高め、顧客との強い結びつきを生み出します。以下では、それぞれの手法について詳しく解説します。
商品の魅力・価値を高める
商品ブランディングの基本となるのが、商品自体の価値向上です。いくら優れたマーケティング戦略を立てても、商品そのものの品質が伴わなければ、持続的なブランド価値を築くことはできません。
具体的には、以下のような取り組みを求められます。
- 商品の品質管理と向上
- 機能性の継続的な改善
- ユーザーフィードバックの収集と反映
- 競合商品との差別化ポイントの強化
この取り組みを通じて商品の本質的な価値を高めることで、ブランドの信頼性も自然と向上します。
サービスや接客の質を高める
商品ブランディングにおいて、サービスや接客の質も見逃せない要素です。優れた商品であっても、購入時の体験が悪ければ、顧客の印象は大きく損なわれてしまいかねません。
- スタッフの専門知識の向上
- 丁寧で親身な接客対応
- アフターサービスの充実
- カスタマーサポートの強化
などにフォーカスしつつ、適切に改善することで顧客満足度が向上し、結果として商品ブランドの価値向上につながります。
商品ブランドの世界観を統一する
VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、商品ブランディングにおいて重要な役割を果たします。統一されたビジュアルイメージは、顧客の記憶に強く残り、ブランドの認知度を高めるものだからです。
統一すべき要素としては、以下が挙げられます。
- ロゴデザイン
- カラースキーム
- パッケージデザイン
- 販促物(POP、チラシ等)
- Webサイトのデザイン
ときには異なる場合もありますが、基本的にすべての要素を同じコンセプトで統一することで、一貫性のあるブランドイメージを構築できます。
商品のブランドストーリーを伝える
魅力的なブランドストーリーは、顧客との感情的なつながりを生み出す要因となるものです。単なる商品説明を超えて、より深い価値を伝えることができるからです。
効果的なブランドストーリーには、以下のような情報がしっかりと盛り込まれています。
- 商品開発の背景や歴史
- 企業理念や価値観
- 商品が解決する課題
- 実際の使用体験やエビデンス
それぞれの要素を組み合わせて、説得力のあるストーリーを構築することで、顧客との強い絆を築くことができます。また、ブランドにある背景や裏話は、SNS等での話題になって急速に広まることにもつながるでしょう。
商品ブランディング戦略の立て方/進め方
商品ブランディング戦略を成功させるためには、体系的なアプローチと一貫性のある実行がポイントです。以下の8つのステップに沿って進めることで、効果的な商品ブランディングを実現しましょう。
- 現状分析
- 目標設定
- コンセプト設計
- ビジュアル開発
- 商品開発・改良
- プロモーション計画
- 実施・展開
- 効果測定・改善
大切なのは、これらすべてのプロセスにおいて「このブランドらしさ」を常に意識し、一貫性を保つことです。ブランドコンセプトとの整合性を欠いた施策は、たとえ短期的な効果があっても、長期的なブランド価値の構築には繋がりません商品の世界観を確立し、軸とした判断を徹底することが、効果的な商品ブランディングの基本となります。
商品ブランディングでは『香り』も新たな一貫性に
近年、商品ブランディングにおいて、視覚的な要素だけでなく、五感に訴えかけるアプローチが注目を集めています。特に「香り」は、色やロゴに匹敵するほど重要な要因として、マーケティング等に活用され始めています。
香りには、以下のような効果があります。
- 記憶に強く残る
- 感情に直接働きかける
- 商品の世界観を体感的に伝えられる
- 他社との差別化要素になる
こうした効果を踏まえ、例えば映画「チャーリーとチョコレート工場」の特別試写会では、会場にチョコレートの香りを漂わせることで、映画の世界観をより深く体験できるプロモーションを実施。この取り組みは、観客の記憶に強く残る印象的なブランド体験を創出しました。
このような「ブランドセント(ブランドを象徴する香り)」の活用は、さまざまな業界で広がりを見せています。アイス商品の販促では、商品の香りを付けたチラシを配布するなど、商品の魅力を五感で伝える取り組みも増えています。
香りをすぐに取り入れられる香り印刷
香り印刷は、商品ブランディングに香りを取り入れるもっとも手軽な方法の1つです。パンフレットやチラシ、パッケージなどの印刷物に香りを付加することで、視覚情報と嗅覚情報を組み合わせた効果的な訴求が可能になります。
特に以下のような場面での活用は、手軽に取り入れやすく、ブランディングにも効果的です。
- 新商品のサンプリング
- イベントでの配布物
- ダイレクトメール
- 店頭POPやディスプレイ
従来の視覚的なブランディングに新たな価値を加え、より印象的な商品ブランディングを実現するためにも、香り印刷を取り入れてみませんか?気になる方は、ぜひ商品ページをご覧ください。
【関連記事】香りブランディングの効果とは?活用事例とあわせて解説
よくある質問(FAQ)
最後に、商品ブランディングを実践する上で、よく寄せられる質問についてお答えします。
ブランディングとマーケティングの違いは?
ブランディングとマーケティングは似て非なる活動で、相互に補完し合う関係にあり、効果的な商品展開には両方の視点が必要です。
マーケティングは、顧客に対して商品が売れる仕組みを作るためのアプローチです。市場調査や販売戦略の立案、プロモーション活動など、直接的に売上につながる活動を指します。
一方、ブランディングは企業のブランドイメージを作り出し、競争優位性を獲得するためのアプローチです。長期的な視点で、顧客との信頼関係を構築し、ブランドの価値を高めていく活動となります。
商品ブランディングとマーケティングの違いは?
商品ブランディングは、特定の商品に焦点を当て、そのブランドイメージを確立し、競争優位性を確保するアプローチです。商品の持つ価値や世界観を明確にし、顧客の心に深く刻み込むことを目指します。
これに対してマーケティングは、その商品をいかに効果的に市場に投入し、売上を伸ばすかという観点からのアプローチです。商品ブランディングで確立したブランド価値を、マーケティング活動を通じて市場に浸透させていくという関係性があります。
商品ブランディングとサービスブランディングの違いは?
もっとも大きな違いは、対象が目に見えるものであるかどうかです。両者でブランディングのアプローチは異なりますが、一貫した価値提供を目指す点は共通しています。
商品ブランディングは、実際に手に取れる有形の商品を対象としています。そのため、パッケージデザインや商品の質感など、視覚的・触覚的な要素を重視したブランディングが可能です。
一方、サービスブランディングは無形のサービスが対象です。接客品質やサービスの利便性など、体験を通じて感じる価値の訴求が中心となります。
商品ブランディングと企業ブランディングの違いは?
商品ブランディングと企業ブランディングの違いは、ブランディング対象の範囲です。
商品ブランディングは、特定の商品に対する顧客や見込み客の認識に焦点を当てています。一方、企業ブランディングは会社に関するすべてのステークホルダー(顧客、従業員、取引先、株主など)を対象とし、企業理念や社会的責任、組織文化など、より広範な要素を含むブランディング活動です。
まとめ
商品ブランディングは、市場競争が激化する現代において、企業の持続的な成長を支える重要な戦略です。効果的な商品ブランディングにより、競合との明確な差別化が可能となり、顧客からの継続的な支持を獲得できます。
プルーストでは、香り印刷の技術を用いて、商品ブランディングに香りを取り入れられます。他社と差別化し、新たな商品の認知度を高めるためにも、ぜひご検討ください。
香りの印刷所プルースト編集部
この記事は、香りの印刷所プルーストを運営している久保井インキ株式会社のプルースト編集部が企画・執筆した記事です。
香りの印刷所プルーストでは、香りの印刷をテーマにお役立ち情報の発信をしています。