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香りブランディングの効果とは?活用事例とあわせて解説
- 「香りって、ビジネスにどう関係するの?」
- 「うちの会社に香りなんて必要ないんじゃない?」
- 「香りのブランディングって、そんなに効果あるの?」
香りは単なる「いい匂い」以上に、ブランドイメージの向上、顧客満足度の向上、さらには売上増加にまでつながるものです。しかし、香りのブランディングを誤れば、顧客に不快感を与えたり、ブランドイメージを損なったりするリスクもあります。
そこで本記事では、香りによるブランディングの効果的な活用方法と、成功事例を詳しく解説します。「ブランド戦略に新しい風を吹き込みたい」「顧客との感覚的なつながりを強化したい」という方は、ぜひ最後までご一読ください。
目次
香りによるブランディングとは
香りによるブランディングとは、企業やブランドが独自の香りを戦略的に活用し、顧客の感覚に訴えかける手法のことです。単にしゃれた香りを使うだけでなく、ブランドイメージの強化や、記憶に残る体験を届けるためにブランドセントとして体系的に展開されます。
嗅覚は五感の中でもっとも原始的かつ本能的な感覚であり、脳に直接影響を与えます。そのため、香りによる記憶は他の感覚よりも100倍も強力だと言われているほどです。
この特性を活かし、香りによるブランディングは顧客の無意識に働きかけ、長期的な記憶形成とブランドロイヤリティの構築に貢献します。
欧米で香りは「社交」だと考えられている
興味深いのは、欧米における香りは「社交」という側面があるという意見も挙げられていることです。もし、コミュニケーションの一環だと捉えれば、香りを通じて、顧客間や顧客とブランドの間に社会的なつながりを作り出すことができるはずです。
特定の香りを店舗やイベントで使用することで、顧客に共通の体験届けるなどの取り組みは、ブランドの魅力を高め、顧客との長期的な関係構築に役立つと言えるでしょう。
「香りを通じた対話」と考えれば、単なるマーケティング手法ではなく、ブランドと顧客との間に社交的な関係性を構築する試みとも言えるのです。
香りのブランディングが注目されているのはなぜか
香りのブランディングが注目を集めている理由は、従来のビジュアルやオーディオ中心のマーケティング手法に比べ、香りは直接的に消費者の感情や記憶に働きかけることができるからです。
視覚や聴覚による情報が飽和状態となっている現代社会において、このアプローチをブランドに利用できれば、香りとして新鮮で印象的な体験を届けられ、結果的に企業の競争力を高めることにもつながるのです。
嗅覚(香り)と記憶の関係性
直接的に消費者の感情や記憶に働きかける、この嗅覚(香り)と記憶の関係性は、「プルースト効果」によるものです。プルースト効果とは、特定の香りが過去の記憶や感情を鮮明に呼び起こす現象を指します。
嗅覚情報が他の感覚情報と異なり、記憶や感情を司る大脳辺縁系に直接伝達されることにより、強い感情的反応を引き起こし、関連する記憶を鮮明に蘇らせることができるのです。
そのため、香りを通じて形成されたブランド体験は、消費者の記憶に深く刻まれ、長期間にわたって影響を与え続けることができます。
企業が香りのブランディングを採用する理由
企業は競争優位性と差別化を狙うため、香りのブランディングを採用しています。すでにお伝えしたように、香りは感情や記憶に直接結びつく特徴があり、顧客との強いつながりを作り出せるからです。
また、香りは購買行動にも影響を与えることが、日本管制工学会論文誌に公開された論文で明らかになっています。香りは消費者の購買意欲に直接的な影響を与え、さらに他の感覚的要素(視覚、聴覚など)、例えば照明と組み合わせることで相乗効果を得られるマーケティング手法として注目に値するでしょう。
参照: 日本感性工学会論文誌
香りによるブランディングで期待できる4つの効果
香りによるブランディングは、視覚や聴覚だけでなく、嗅覚にも訴えかけることで、高いブランディング効果を発揮できます。ここからは、具体的に香りによるブランディングで期待できる4つの主要な効果について詳しく見ていきましょう。
ブランドイメージの向上
香りはブランドの個性や価値観を効果的に表現し、顧客の記憶に深く刻み込む力を持っています。独自の香りを使うことで、目指すイメージに合わせたブランディングが可能です。
嗅覚は感情や記憶と直接結びつきやすく、顧客に良い体験を届けることでブランドへの好感度を高められます。また、独自の香りは他社との差別化にも繋がり、市場での存在感を高める効果も期待できます。
購買意欲の促進
香りは顧客の気分を向上させ、購買意欲を高める効果があります。心地よい香りは、商品やサービスへの印象を良くし、購入への意欲を高めるからです。
例えば、「消費者行動における匂いの効果研究の展望」では、温かい匂い(シナモン)が高級品の売上増に繋がったという結果が得られています。
別の研究では、店舗内の滞在時間が平均24秒(10.6分から11.0分に)延びたというものもあり、購買につながる可能性も高められるといえます。
参照: 明治学院大学
顧客満足度の獲得
質の高い香りを用いたブランディングは、顧客に特別な体験を届けられる結果、長期的な顧客ロイヤルティにつながります。独自の香りは顧客の記憶に深く刻まれ、ブランドへの愛着や信頼感を醸成するきっかけとなるためです。
香りによる快適な空間づくりは、従業員のモチベーション向上にも寄与し、サービス品質の向上を通じて顧客満足度をさらに高める好循環も生み出します。
他社との差別化
香りによるブランディングは、競争の激しい市場での差別化に効果的で、ブランドの認知度向上に貢献します。嗅覚にも訴えかけることで、より多角的かつ印象的なブランド体験に仕上がるからです。
オリジナルの香りの開発と使用は、ブランドの独自性を強調し、顧客の記憶に深く刻まれることで、他の場所で同じ香りに出会った際、そのブランドを即座に想起させるのです。
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香りブランディングの事例3選
ここでは、ホテル業界、アパレル業界、医療施設における香りブランディングの成功事例を紹介します。この事例から、香りがいかにブランド価値を高め、顧客満足度を向上させるかを学ぶことができるでしょう。
ホテル業界での事例
ホテル業界での事例では、ウェスティン都ホテル京都の取り組みが挙げられます。同ホテルでは、グループ全体の「パーソナルリニューアル」というテーマに基づき、ゲストの五感に訴えかける癒しの空間づくりを行っています。
その一環として、アメリカの香水メーカーと共同開発したオリジナルアロマ「ホワイトティー」を使用。この香りは、青々としたツタ、またホワイトティーの茶葉を基調とし、ウッディとムスクで深みを加えたものです。
ロビー、エグゼクティブラウンジ、客室アメニティに至るまで、一貫してこの香りを展開しています。この取り組みは、ゲストに心地よい非日常体験を提供するだけでなく、世界中のウェスティンホテルで統一された香りを通じて、ブランドの記憶を強化する効果も期待されています。
参照: TKG PRESS
アパレル業界での事例
アパレルブランドにおいては、Abercrombie&Fitch(通称アバクロ)が挙げられます。香りブランディングの先駆者として知られるアメリカのカジュアルファッションブランドで、同社は早くから香りマーケティングに着手し、長年にわたり成功を収めてきました。
当初、アバクロの店舗では独特の香り「Fierce」が使用され、この強烈な香りは同社の象徴的な要素となっていました。2017年7月、A&Fはブランドイメージの転換を図る一環として、店内の香りを「Fierce」から「ELLWOOD」に変更するなどの工夫も行っています。
新しい香り「ELLWOOD」は、ホワイトベルガモットをイメージしたものです。この変更は、ブランドの成熟と顧客層の変化に合わせた戦略的な動きと考えられます。より洗練された香りへの転換は、A&Fが目指す新しいブランドイメージを反映していると言えるでしょう。
医療施設での事例
医療施設における香りの活用では、すずき歯科医院の「リラックス治療」が挙げられます。同院では、アロマオイルを用いて院内を心地よい香りで満たすことで、患者のリラックスを促し、治療効果の向上を図っています。
この取り組みの背景には、心を落ち着かせることで痛みを感じにくくなり、治癒も促進されるという考えがあります。鎮痛作用、抗菌作用、リラックス作用などを持つ複数のアロマオイルを巧みに配合し、歯科医院特有の薬品臭を払拭し、患者により快適な治療環境を提供しています。
この香りを活用したアプローチは、歯科治療に対する不安や恐怖心を軽減させるだけでなく、医院の独自性を高め、ブランドイメージの向上にも貢献しています。香りが医療サービスの質と患者体験を向上させるブランディングに役立っているのです。
参照:すずき歯科医院
【論文】香りがもたらす心身機能への効果はブランディングに有効
「香りがもたらす、心身機能への効果」と題された論文では、特定の香りは作業能力の向上やストレス軽減に効果があると示唆されました。実験結果から、被験者のパフォーマンスが向上し、ストレス指標も改善されたことが報告されています。
実験結果によると、香りなしの条件下での作業能力が平均727.7点だったのに対し、香りありの条件下では823.9点に向上しました。また、別の実験では香りなしの条件で797.5点だったスコアが、香りありで879.5点に上昇しています。
さらにストレス指標も改善が見られ、香りの使用によって0.80%から0.68%へ、また別のケースでは0.48%から0.19%へと低下しました。
このことから、企業は顧客体験を向上させるため、ブランディングとして店舗やオフィス空間に適切な香りを導入することで、生産性の向上や快適性の増進が期待できることを示しているのです。
参照: 草隆社
香り印刷で実現する記憶に残るブランディング戦略
香りのブランディングは、ブランドセントや専用の香水を使うだけでなく、印刷物を通じて香りを届ける「香り印刷」という手法も魅力的です。プルーストでは、14種類の香りインキから選べるため、名刺やショップカード、ポストカードなどにお好みの香りを添えることができます。この香りが、ただの印刷物を特別なコミュニケーションツールへと変え、顧客の記憶に深く刻まれるのです。
さらに、プルーストの姉妹サイト「香り印刷ドットコム」では、手軽に利用できる香りのシールも展開しており、手軽に香りのブランディングを楽しめます。また、オリジナル商品開発にも対応しているため、より個性的で特別な香り付き商品を作ることが可能です。
香り印刷は、普通の印刷技術にとどまらず、顧客の五感に訴えかけることでブランドの魅力を強く印象づける力を持っています。
まとめ
香りによるブランディングは、嗅覚が直接的に感情や記憶に働きかける特性を活かし、ブランドイメージの向上、購買意欲の促進、顧客満足度の獲得、他社との差別化といった多面的な効果をもたらします。
ホテル、アパレル、医療施設など、さまざまな業界での成功事例は、香りが実際にブランディングに役立ち、独自のブランドイメージを構築し、競争優位性を獲得できることを示しています。
競合他社との差別化をし、顧客の心に残る独自のブランドイメージを構築したいとお考えの方は、ぜひ下記ページから商品一覧をご覧ください。
香りの印刷所プルースト編集部
この記事は、香りの印刷所プルーストを運営している久保井インキ株式会社のプルースト編集部が企画・執筆した記事です。
香りの印刷所プルーストでは、香りの印刷をテーマにお役立ち情報の発信をしています。