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ビジネスで差がつく!交渉で知っておきたいコツと失敗しないための準備・テクニック

日々の業務で、つい交渉を避けようとしていませんか?
交渉とは「相手と話し合って合意に達することを目指す」ことです。会議でメモ係を決めるような小さなことから、企業の合併といった事柄まですべてが交渉です。
範囲が広いからこそ、苦手な方でも準備と少しの練習だけしておけば、難しい駆け引きも有利に進められます。今回は、交渉を成功させるための具体的なコツやテクニックを紹介します。
交渉のもっとも重要なコツは『勝とうとしない』こと
交渉が上手な人は、「勝ち負けではない」という意識を持っています。交渉を勝負だと考えていると、その姿勢は相手に伝わってしまうからです。
あなたが一方的に意見を押し付けると、相手は「無理やり押し切られた」と感じるはずです。「自分が負けた」と感じると、自然に相手を避けようとする防衛反応が働きます。
せっかく交渉に臨んで短期的に目的を達成できても、将来の関係を損なってしまうのです。そうならないためにも、双方が納得できる結論を探るため、まず次の5つの心構えを身につけましょう。
相手の立場を理解する
交渉では、相手を尊重することが良い結果につながります。あなたが相手の立場に配慮しているというサインを送るといった敬意を示すことで、信頼関係(ラポール)が生まれるからです。
つい交渉に焦って「勝ち」を急いだ経験はないでしょうか。このとき、相手の立場を理解しようと努めると、自らの「勝とうとする気持ち」は自然と抑えられ、お互いが満足できる解決策を見つけやすくなります。
感情をコントロールする
交渉の場という緊迫した空気のなかだからこそ、普段から感情の起伏が激しい人は冷静さを保ち、感情的な発言を避けてください。感情的になると冷静な判断ができなくなり、相手への印象が悪くなるどころか、交渉も不利になることは明らかです。
怒りのコントロールには、アンガーマネジメント(怒りの管理法)がおすすめです。交渉相手が無理な要求をしてきたとき、すぐに反発するのではなく、一呼吸おいて「なぜそのような要求をするのか」を冷静に考えてみましょう。
目標を明確にする
具体的な目標があれば、それを目安に交渉を進められます。結果、自らの主張が曖昧になることも、いつ交渉の席を立つべきか迷うこともなくなります。交渉の目標を決めるには、次の点について考えましょう。
- もっとも望ましい結論は?
- 自分が納得できる最低条件は?
- 交渉が不調に終わったらどうする?
常識の範囲で期待できる最高レベルの条件を目標にしてください。昇給交渉であれば、役職や経験で望める最高レベルの報酬額を目標にし、最低でも受け入れられる金額も忘れずに決めておくと良いです。
WIN-WINを目指す
「WIN-WIN」とは、双方がメリット(得)を得られる関係のことです。交渉においては相手との信頼関係を築き、互いにメリットのある交渉を目指します。
WIN-WINの関係を構築するには、以下の小さな点まで考えましょう。
- 何気ない会話や雑談を大切にする
- 自己開示(自らの情報を適度に伝えること)をする
- 相手の気持ちや感情に配慮する
- 有言実行を心がける
- 相手に関心を持つ
一見すると、「無意味では?」と思う人もいるかもしれません。でも、相手の心を開いて双方が利益を得るには、こうした回り道も「意味のある交渉」を実現するためにも大切なことです。
時間を味方につける
交渉では焦りが生じやすいものです。「急いで結論を出さなければ…」と不安になったことはありませんか?つい、プレッシャーを感じて結論を急ぐと、希望の条件に合わなくても同意してしまいやすいです。
交渉の前に、以下のことを書き出しておきましょう。
- いつまでに合意するのか
- あるいは妥協点を見つけなければならないのか
たった2つだけでも、意思決定における際の時間のプレッシャーを軽減できます。難しい交渉の場であっても、話し合いを一度中断して検討する余裕は十分にあるのです。
交渉前に準備すべき6つのポイント

交渉の成功は、準備で決まるといっても過言ではありません。自信を持って交渉に臨むために、交渉前に必ず押さえておきたい6つのポイントを紹介します。
情報を集める
交渉では、「競合他社はこの価格で提供している」「市場価格はこの水準である」といった具体的なデータを用意できれば説得力が増します。相手に納得してもらえるだけの客観的なデータ(根拠)があれば、提案の内容において理解を得やすくなるからです。
データを用意する際には、複数の業者から見積もりを取り、価格、サービス内容、納期などを比較・検討しましょう。過去の価格推移を分析し、そこから予想できる数値を添えるのも有効です。
相手のニーズを予測する
交渉相手について知識があれば、交渉のテーブルに着いたとき、ずっと余裕を持てます。だからこそ、相手のクライテリアを理解しましょう。クライテリアとは、人がどのように「良い」「悪い」を判断しているのか、その根拠となる価値観や基準です。
交渉において相手のクライテリアを押さえることができるかは、交渉で「YES」を引き出すポイントになります。以下のような質問を自分に投げかけて、相手のニーズを予測してください。
- 相手にとって交渉で譲れないものは何か?
- この交渉で相手が得るもの、失うものは何か?
- 相手の立場から見て、どのような結果がもっとも有利か?
- 相手の関心ごとや優先事項は何か?
最低ラインを決める
交渉では通常、少々の駆け引きを含みます。もっとも望ましいシナリオになる可能性は低い、と最初から考えておきましょう。とはいえ、受け入れられる最低ラインを決めておき、交渉を中断すべきタイミングを知っておくことが大切です。
また、合意に至らなかった場合の次善の選択肢を決めておくのも準備の基本です。このBATNA(バトナ:Best Alternative To a Negotiated Agreement=交渉が決裂した場合の最善の代替案)があれば、次にとれる手段がわかっているため、交渉を受け入れるべきかを冷静に判断できるはずです。
代替案を用意する
価格交渉においては、最初から希望価格を提示するのではなく、複数の交渉案を用意しておくのも有効です。複数の案を提示するメリットは、以下のとおりです。
- 交渉の幅が広がる
- 相手方のニーズを探れる
- 妥協点を見つけやすい
また、交渉において双方が妥結できる交渉範囲を設定しておきます。この交渉範囲をZOPA(ゾーパ:Zone of Possible Agreement=合意可能領域)と呼び、予測すれば代替案が立てやすくなり、交渉の成功確率が高まります。
シナリオを複数作る
交渉を成功させるには、適切なタイミングを見計らい、交渉のシナリオを練る戦略もときには必要です。
- 値引き交渉の目的を明確にし、達成したい目標を設定する
- 交渉相手の性格や交渉スタイルに合わせたコミュニケーション戦略を立てる
- 交渉の開始から合意に至るまでの流れでどのような発言や提案をするかを検討する
- 相手方から想定される質問に対する回答を事前に準備しておく
- 交渉が難航した場合の代替案を準備しておく
交渉シナリオは「Aと言われたらBと返す」といった単純なものからはじめれば十分です。実際の交渉では予想外の展開もあるでしょう。それでも、基本的なシナリオを頭に入れておけば、余裕を持って対応できます。
交渉の場所を選ぶ
より手軽に行える方法を探しているなら、交渉の場所や環境設定に気を配ってみてはいかがでしょうか。自社のオフィスで交渉すれば、必要な資料や情報にすぐにアクセスできるというメリットがあります。一方、中立的な場所を選ぶことで、相手に公平感を与えることもできます。
このとき、会議室の座席配置にも目を向けてみましょう。対立の構図を作らないために、自分と相手が向き合って座るのではなく、同じ方向を向いて座る「連帯感の構図」を作ると良いです。
【関連記事】営業は第一印象が大切?本当に印象を残す7つのコツ
交渉で使える7つのテクニック・コツ

ここまでの準備を整えたら、いよいよ実際の交渉に臨む番です。交渉の場で使えるテクニックやコツを身につけ、成功率を高めておきましょう。
アンカリング効果を心理を利用する
アンカリング効果とは、最初に提示された印象的な情報がその後の意思決定に影響をおよぼすことです。交渉の場においては、初回提示価格などがアンカーポイント(基準点)となります。
通常、初めに提示された価格が交渉全体の判断基準となります。この起点から工夫して設定すれば交渉中に値上げ・値切りされても希望する価格まで誘導できるのです。
相手に質問を投げかける
交渉の場で質問をするというのは、意外かもしれません。ただ、次の3つのメリットが得られます。
- 相手の提案について理解が深まる
- 決め手に欠ける妥協案では納得しないことを示せる
- 相手が交渉を成立させたい理由を引き出せる
相手の意欲を掻き立てるには、「はい/いいえ」で答えられる閉じた質問では意味がありません。オープンクエスチョン(開かれた質問)を使うことで、相手から多くの情報を引き出してください。
沈黙を活用する
交渉においては、熱心さを見せすぎないことが強みになります。必死さはときに、相手が不快になるからです。
- ボディランゲージを使う
- ゆっくりと穏やかに話す
- 仮定の表現を使う(もし我々がXをするとしたら…)
- 堂々と主張する
例えば、すぐに反応せずに沈黙の時間を作ってみましょう。この「間」が相手に心理的なプレッシャーを与え、あなたにより有利な条件を引き出せることがあります。
複数の選択肢を提示する
交渉では、1つの提案だけでなく、複数の選択肢を同時に提示するテクニックが有効です。相手に選ぶ自由を与えながらも、条件内で決断してもらいやすくなります。
- 「A案:基本機能のみで価格を抑える」
- 「B案:追加機能付きで若干高め」
- 「C案:フルサポート付きでプレミアム価格」
といった複数の選択肢を提示することで、相手は「買うか買わないか」ではなく「どの案にするか」を考えます。これは、MESO(Multiple Equivalent Simultaneous Offers)と呼ばれるテクニックです。
相手の本当のニーズを知る手がかりにもなりますし、すべての提案を拒否した場合は、「どの案が一番良かったですか?その理由は?」と尋ねてみることもできます。
譲歩のタイミングを見極める
交渉では、相手に少しずつ譲歩することで、最終的な合意に近づくことができます。しかし、譲歩が早すぎると相手はさらに期待しますし、頑なに譲歩しないと交渉が決裂しかねません。
そのため、小さな譲歩からはじめ、最終提案であることを明確にするなどの駆け引きを”楽しむ”のがコツです。譲歩するときは、それが相手にとって価値のあるものであることを強調し、同時にあなたも何か見返りを得られるよう交渉しましょう。
相手の言葉を繰り返す
アクティブリスニングとして知られている、相手の言葉を繰り返す方法も良い手段です。あなたが相手の意見をしっかり聞いていることを示せますし、誤解がないことも同時に確認できます。
相手の言葉を少し言い換えたり、要約したりして返すのが有効です。言葉を繰り返す際は、機械的にならないよう注意し、自然な会話の流れの中で行うことがポイントです。これにより、相手は「自らの話をちゃんと聞いてもらえている」と感じ、交渉も円滑に進みます。
交渉は「香り」で第一印象から有利に進めるのもアリ
交渉において、第一印象は今後の商談のイメージをガラッと変える要因です。初対面の相手との交渉では、最初の数分であなたに対して抱いた印象が、その後の交渉全体に影響します。
この点においては、第一印象を決めるノンバーバルコミュニケーション(言葉以外のコミュニケーション)の重要性はよく知られています。では、「嗅覚」で記憶と感情に直接訴えかける方法もあるのをご存知でしょうか。
香りには記憶や感情を呼び起こす「プルースト効果」があり、交渉相手に好印象と記憶に残る存在感を与えます。
【関連記事】商談における香りの重要性とは?おすすめの香りについても解説
よくある質問(FAQ)

交渉が上手い人にはどのような特徴がありますか?
交渉が上手い人に共通しているのは、「しっかりと事前準備を行う姿勢」です。また、以下のような特徴も見られます。
- 相手の状況や関心ごと、立場などをしっかり把握している
- 交渉のタイミングを見極めることができる
- 「正直に話す」「ごまかさない」「約束を守る」など、真摯な態度で接する
- アクティブリスニングを実践し、相手の話をよく聞く
- 論理的に筋道を立てて自らの意見を伝える
- 感情的にならず、冷静に対応できる
- 相手がどのような反応をしているか観察し、把握できる
交渉上手な人は、その場の空気を読むことも得意で、感情面の理解とロジック(論理的思考)、どちらのスキルも備えています。これらの特徴は意識して練習することで、だれでも身につけることができます。
交渉の4原則とは?
交渉の4原則とは、「原則立った交渉法」の基本原則であり、以下の4つから成ります。
原則(日本語) | Principle(英語) | 概要説明 |
人と問題を切り離す | Separate the People from the Problem | 感情や人間関係と問題をわけて考え、問題そのものに焦点を当てる。 |
立場ではなく利害に焦点を当てる | Focus on Interests,Not Positions | 表面的な主張ではなく、背後の本当のニーズや関心に注目する。 |
双方の利益となる選択肢を生み出す | Invent Options for Mutual Gain | 単なる妥協ではなく、Win-Winの創造的解決策を模索する。 |
客観的な基準を用いる | Insist on Using Objective Criteria | 感情や権力でなく、公平な基準(市場価格、専門意見など)で判断する。 |
原則に従うことで、感情や力関係ではなく、公平で客観的な基準(市場価格、専門家の意見、前例など)にもとづいて交渉できます。結果として、双方が納得できる持続可能な合意に達しやすくなります。
交渉力が高い人はどのような人ですか?
交渉力が高い人は、以下のような特徴を持っています。
- コミュニケーション能力が高い
- 準備を徹底している
- 感情をコントロールできる
- 創造的な問題解決能力がある
- 柔軟性がある
- 忍耐強い
- 相手の立場に立って考えられる
- 良い判断力を持っている
交渉力は生まれつきの才能というより、学習と経験を通じて磨くことができるスキルです。日常のさまざまな場面で意識的に実践することで、徐々に向上を目指してください。
まとめ
交渉でもっとも重要なのは、「勝とうとしないこと」です。一方的な勝利を目指す交渉は、短期的に目的を達成できたとしても、相手に「負け」の感情を残し、将来的な関係性を損なってしまいます。
相手の立場を理解しようとする行動が、自らの勝とうとする感情を自然と抑制し、双方にとって最適な結果をもたらします。交渉は対立ではなく、問題解決のためのプロセスだと考えましょう。
また、交渉前からできる準備として、香りも取り入れてみてはいかがでしょうか。香り付きの名刺やショップカードは新しい印象を生み出せるほか、会話のきっかけ作りにも効果的です。
香りの印刷所プルースト編集部
この記事は、香りの印刷所プルーストを運営している久保井インキ株式会社のプルースト編集部が企画・執筆した記事です。
香りの印刷所プルーストでは、香りの印刷をテーマにお役立ち情報の発信をしています。