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香りのアートとは?注目の理由や特徴・ビジネスでの活用法まで解説

香りは私たちの日常生活に深く関わっています。朝のコーヒーの香り、新鮮な花の香り、雨上がりの土の匂いなど、単なる「におい」ではなく、私たちの感情や記憶に強く結びついた体験となっています。
「香り」という目に見えない要素をアートとして捉える動きがみられるほか、ビジネスにおいても活用の可能性が生まれつつあります。本記事では、この香りのアートとは何か、なぜ注目されているのか、そしてどのように活用できるのかについて解説します。
目次
香りのアートとは?
香りのアートとは、嗅覚アートとも呼ばれ、香りを主たる表現手段として用いる新しい芸術形式のことです。現代では香水の創作や空間演出、インスタレーション(表現手法・ジャンルの1つ)など、多様な表現方法で展開されています。
香りのアートは単なる「良い香り」を目指すものではありません。ときには不快な匂いを用いたり、複数の香りを組み合わせたりするなどによって、アーティストの意図や概念を表現します。
香りがアートとして注目される理由
香りのアートが注目を集める理由は、「有用性からの解放」にあります。これまで香りは、主に3つの実用的な目的で使われてきました。
- 宗教的な儀式(お香を焚いて神聖な空間を作り出す)
- 不快な臭いを消すための消臭
- 異性を魅了するための香水
しかし現代では、こうした実用的な目的を超えて、香りそのものの芸術的な価値が見直されています。目に見えず、鑑賞者の想像力を刺激し、個人の記憶や感情を呼び起こす力によって、従来のアートにはない新しい表現が生まれているのです。
香りアートの3つの特徴
香りアートは、視覚や聴覚に頼る従来のアートとは異なり、香りは人の感覚や感情、空間に対して異なる特徴を持っています。以下では、具体的な特徴を紹介します。
感覚に直接働きかける表現力
香りは、人の感覚に直接的に作用する特別な表現力を持っています。絵画を見て感じる「美しい」「面白い」といったものではなく、香りは「心地よい」「懐かしい」といった感覚的な反応です。
例えば、アーティストが意図した感覚体験を、より直接的に鑑賞者に伝えるために香りで思い出してもらうといった具合です。森の香りのインスタレーションでは、香りだけでも自然の中にいるような感覚を体験できます。
記憶や感情を呼び起こす力
香りには、人の記憶や感情を強く呼び起こす力もあります。子どもの頃に食べた手料理の匂い、はじめて訪れた外国の街の香り、大切な人との思い出の場所の空気感など、香りは具体的な記憶と結びついています。
アーティストはこのプルースト効果を活かし、香りを通じて鑑賞者の個人的な記憶や感情を呼び覚まし、作品の意図する世界観をより深く体験できる工夫を凝らしているのです。
空間全体の演出
香りは空間全体に広がり、その場の雰囲気を作り上げる特徴も持っています。同じ展示室でも、清々しい柑橘系の香りを漂わせれば爽やかな空間に、温かみのある木の香りを用いれば落ち着いた空間に変化します。
鑑賞者を包み込むような没入感のある作品を創造でき、従来の視覚芸術では実現できなかった新しい空間表現が可能になるでしょう。実際にビジネスでも空間演出に香りが用いられたこともあり、新たなブランディングとしても有効です。
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香りアートをビジネスに取り入れる理由

香りアートは、従来の視覚や聴覚に頼った表現方法に加えて、香りという要素を取り入れることで、顧客に新たな体験を届けられる切り口です。以下に、香りアートをビジネスに取り入れるメリットを3つ紹介します。
印象を強く残せる
香りには。記憶と感情を強く結びつける「プルースト効果」があります。プルースト効果とは、ある香りをきっかけに過去の記憶が鮮明によみがえる現象のことです。
特定の香りを受け取った際、商品やサービス、ブランドの印象を顧客に強く印象を残せます。展示会やイベントで香りを演出に使用すれば、また同じ香りを感じたときに当時の記憶を思い出してもらえるでしょう。
オリジナルの空間を作れる
香りは目に見えませんが、空間全体を作り上げて1つのブランドとして構築し、鑑賞者の想像力を刺激し、独自の世界観を作り上げられます。
例えば、オフィスや商業施設で心地よい香りを用いることで、リラックスできる雰囲気や活力を感じる空間を演出するといった具合です。また、香りによって呼び起こされる記憶(プルースト効果)は、その場所やブランドに対する特別な思い入れを生み出すきっかけにもなります。
自由に組み合わせられる
香りのアートの特徴は、音楽や映像、照明など、他の表現方法と自由に組み合わせられることです。例えば、展示会では映像と香りを組み合わせる、商業施設ではBGMと香りを連動させるなどで、より没入感のある体験を創出できます。
香りだけでは印象を強く残せなくても、複数の感覚に働きかけることで、より印象的で記憶に残る体験に仕上げられます。アレンジの幅が広く、ビジネスの種類を問わず取り入れやすいでしょう。
香りのアートに期待できる効果
ここからは、より具体的に香りアートから着想を得て、ビジネスシーンでも活用できる3つの効果を見ていきましょう。
ストレス低減効果
香りアートで使う香りの種類を選べば、オフィスワーカーの抱えるストレスの軽減効果が期待できます。例えば、ヘリオトロピンと呼ばれるバニラのような甘い香りには、ストレスによる感情の悪化を抑える効果が期待できます。
また、ラベンダーやベルガモットなどのアロマオイルも、仕事中の緊張やプレッシャーを和らげる効果が期待できるでしょう。香りアートとして会議室や休憩スペースに取り入れることで、より快適な職場環境を作ることができるのです。
覚醒・鎮静効果
香りには、その種類によって覚醒効果と鎮静効果という相反する作用も期待できます。例えば、ペパーミントやローズマリーには覚醒効果があり、午後の眠気対策や集中力向上に効果的です。
一方、カモミールやイランイランには鎮静効果があり、緊張が高まる商談前やプレゼン後のリラックスタイムに適しています。香りアートの設置場所に応じて使いわけることで、1日を通してパフォーマンスを維持できるオフィス空間を作ることも可能です。
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交感・副交感神経への刺激
香りは自律神経系、つまり交感神経と副交感神経を刺激する効果も期待できます。
例として、柑橘系の香り(レモン、オレンジなど)は交感神経を刺激し、活動的な状態へと導きます。であれば、朝のミーティングや企画会議に最適でしょう。
反対に、ラベンダーやバニラの香りは副交感神経を優位にし、リラックス状態を促進します。緊張しやすい商談や名刺交換などで、この香りを選べば落ち着きやすい状態を整えられるのです。
香りのアートをビジネスに活用する方法
ここまで何度か例で触れてきましたが、改めて実際に香りのアートをビジネスに活用する具体的な方法を紹介します。
オフィスの環境改善
まず、オフィスに香りのアートを取り入れることで、働く人の心身の状態を整える環境への改善が見込めます。
- ラベンダーの香りにおけるストレス低減効果でリラックスした環境づくりに
- レモンやペパーミントなどの柑橘系やハーブの香りで集中力を高めるスペースに
業務内容に応じて香りアートを使いわけることで、環境改善を狙うことも可能です。朝は覚醒効果のある香り、午後は集中力を維持する香り、終業前はリラックス効果のある香りというように試せるのです。
空間演出
香りのアートを用いた空間演出は、顧客体験を豊かにする新しい手法として注目されています。視覚だけでなく、香りによって空間全体をデザインし、より印象的な体験を創出できます。
例えば、ホテルのロビーや商業施設では、その場所独自の香りをデザインし、ブランドイメージを強化するなどです。空間全体の雰囲気を香りでコントロールできれば、顧客の滞在時間を延ばしたり、リピート率を向上させたりする効果も期待できます。
マーケティング
香りのアートは、DMやチラシに香りと一緒に付けることで、通常の印刷物よりも高い注目度を獲得できます。また、店内POPに香りを組み合わせることで、商品への関心を高めることもできます。
香りは記憶と結びつきやすい特徴があるため、ブランドイメージの定着にも効果的です。例えば、新商品の発表会で使用した香りを、その後の販促物に活用して商品の印象を強く残すといったことが可能です。
手軽に香りを取り入れられる香り印刷

香りのアートをビジネスに取り入れる手段として、「香り印刷」という方法があります。オリジナルのアートを施した名刺、ハガキ、チラシなど、普段使用する印刷物に香りを付加するだけで独自の体験を届けられます。
プルーストでは、100部という小ロットから対応可能です。ビジネスシーンでの実験的な取り組みやテストマーケティングにも気軽にチャレンジできます。アートという難しい発想だけにとらわれずに、まずは香りという新しい体験を、ビジネスに取り入れてみませんか?ぜひお問い合わせください。
まとめ
香りのアートは、単なる「良い香り」を超えて、感覚に直接働きかける表現力、記憶や感情を呼び起こす力、空間全体を演出する特性を活かすことで、従来にない体験価値を創出できます。
香りには記憶や感情を強く呼び起こす力があり、アートという新たな世界観を取り入れつつ、ブランドや商品の印象を深く刻むことができるでしょう。
この機会に、ビジネスへ香りという新しい体験を取り入れてみませんか?
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香りの印刷所プルースト編集部
この記事は、香りの印刷所プルーストを運営している久保井インキ株式会社のプルースト編集部が企画・執筆した記事です。
香りの印刷所プルーストでは、香りの印刷をテーマにお役立ち情報の発信をしています。